首こり

なんとなく不調な人は伸びの重要性を知らない

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スマホの長時間利用で姿勢が悪くなりがちな現代人。

「疲れがとれない」「肩や腰が凝る」といった不調が生じる原因として、どのようなことが考えられるのでしょうか。

目次

1.猫背になりやすい環境にいる現代人

長時間のデスクワークやスマホの閲覧などによって、現代人の多くは体をほとんど伸ばせていないのが現状です。

また、「背筋がピンと伸びた鬱の人」はあまりいないように、ストレスを感じたり、悲しいことがあったり、悩み事があったりすると、人は自然と背中が丸まってしまいます。

つまり、多忙でストレスフルな現代人は、肉体的にも精神的にも猫背になりやすい環境にあるのです。

だからこそ、意識的に体を伸ばすことが大事。

縮こまった体をグ~ッと伸ばし、前かがみになろうとする体と心をコンディショニングするのです。

自分は姿勢がいいから大丈夫と思っている方も、実は「隠れ猫背」や「反り腰」のケースがあるので注意が必要です。

そもそも、なぜ体をきちんと伸ばしていないと調子が悪くなるのでしょうか。

弊害としてまず挙げられるのは、筋肉というバネが、さびてしまうということです。

筋肉は、バネのようなものです。

バネは、伸縮することで力を生み出します。

それと同様に筋肉も伸縮することで初めてエネルギーを産生し、スムーズに肉体を動かすことができます。

つまり、「伸びる」「縮む」という動きは等しく扱われるべきなのです。

ところが、現代人の多くはそれがアンバランスになっています。

長時間のデスクワークや、肩から提げた重たいカバン、ヒールによる歩き方などによって、体の前面の筋肉は縮みっぱなしであるのに対し、背中や首の筋肉は無理やり引っ張られたような状態が長時間続いています。

「伸びる」「縮む」のバランスが損なわれた「バネ」は、徐々にさびていきます。そして、日常のあらゆるシーンに悪影響が出てきます。

筋肉というバネがさびつくことで、肉体を思うように動かせなくなったり、エネルギーを産生しにくくなったりするのです。

2.「伸ばさない」と、肩甲骨がズレて体が歪む

体を伸ばさないことで、肩甲骨の位置がズレる恐れもあります。

肩甲骨というのは、背中側にある逆三角形をした大きな骨で、肩関節の土台にあたる部分です。

首や肩、腕、腰など、多くの筋肉とつながっており、日常生活のさまざまな動作をサポートしています。

肩甲骨は本来、ほぼ左右対称に位置していますが、たとえば、猫背が習慣化している場合は、肩が内巻きになっていることで肩甲骨が左右に開いていきます。

また、体の使い方によって上下の位置がズレることもあります。

すると、それに付随しているさまざまな筋肉にひずみが生じていき、例に挙げたような動きがスムーズに行えなくなります。

さらに、ズレた肩甲骨が固定化することで、姿勢が歪みます。

その結果、筋肉の使い方がより一層アンバランスになり、体が本来持っている機能がどんどん損なわれていくという不調のスパイラルに陥ってしまうのです。

体を伸ばさずにいると、物理的な圧迫も加わります。

伸びていない状態、すなわち前かがみの状態にあると、まず、内臓が圧迫されます。

窮屈な状態を強いられることによって、内臓は本来持っているパフォーマンスを発揮できなくなります。

また、気道も圧迫されます。

気道というのは、鼻や口から肺に通じている空気の通り道で、ストローのようなものです。

そのため、首が曲がっていると、中を通っているストローも曲がります。

すると、空気の通り道が狭められて呼吸が浅くなり、全身の酸素量が低下します。

体を伸ばさないことによる物理的な圧迫は、血管にもあてはまります。

3.血流が阻害されてしまう

血管は全身に張り巡らされているため、腕を曲げているときは腕の血管も圧迫されますし、首が曲がっていれば首を走っている血管が、また、背中や腰が曲がっていれば、上半身と下半身をつないでいる大事な血管が圧迫されます。

その結果、血液の通り道が狭くなり、血流が阻害されてしまうのです。

心臓から出た血液は、約1分で全身の血管をめぐり、また心臓へと戻ってきます。

その流れを「血流」と言います。

心臓は1分あたり約5リットルの血液を送り出しているので、1日に全身をかけめぐる血液は約7200リットルにも及びます。

それだけ多くの血液が循環することで、健康の歯車もスムーズに回転し、体の調子が整えられているのです。

ところが、血管が圧迫され、血液の通り道が狭まるとどうなるでしょう。

その状態が長く続けば続くほど血流は悪くなり、健康の歯車が狂っていきます。

とくに、脳への影響は顕著です。

人間の脳は、進化の過程で350%大きくなり、血流量は600%も増えたと言われています。

人間が複雑な思考やクリエーティブな発想をするようになるにつれ、脳のサイズも血流量も高まってきたのです。

これは裏を返せば、脳が知的活動を行うためには、血流をよくして、酸素と栄養を絶えず供給する必要があるということです。

脳の重さは全身の約2%にすぎませんが、全身の約15%の血流が集中し、消費する酸素量は全身の25%にも及びます。

それほど、脳はエネルギーを必要としているのです。

そのため、脳への血流が低下すると「集中力が続かない」「記憶力が低下する」「アイデアがひらめかない」など、多くのデメリットが生じます。

長期的には、脳血管性認知症を発症するリスクも高まります。

したがって、肉体はもちろん脳の健康を保つためには、まずは気道の経路を確保して、酸素をしっかり取り入れること。

そして、血流を促して酸素や栄養を供給することが非常に大切だと言えるでしょう。

そのためにできることは、体をしっかり伸ばすこと。

4.「伸ばさない」と呼吸筋が衰える

体を伸ばさず、前かがみの姿勢が続くと、胸郭や横隔膜の可動域が狭くなることも見過ごせません。

胸郭というのは、12対の肋骨や胸椎によって構成されていて、心臓や肺をガードしている骨の籠のようなものです。

脇腹を触ると、肋骨が何本か並んでいるのがわかると思います。

それが、胸郭の一部です。

実は、胸郭はがっちりと形が固定されているのではなく、呼吸に合わせてふくらんだり、縮んだりしています。

というよりも、むしろ「胸郭がふくらむことで、肺に空気が取り込まれている」と言う方が正しいでしょう。

胸郭は骨の籠であるにもかかわらず、どうしてふくらんだり縮んだりできるのでしょうか。

その理由は「呼吸筋」にあります。

呼吸筋というのは、呼吸に関わる筋肉の総称で、主に肋骨の隙間を埋めている肋間筋や横隔膜を指します。

そして、これらの呼吸筋が伸縮することで、胸郭も連動してふくらんだり縮んだりしているのです。

つまり、肺にたっぷり酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出するためには、呼吸筋がしっかり機能する必要があるということです。

ところが、現代人の多くは、呼吸筋を充分使えていません。

速くて浅い呼吸が習慣化していたり、前かがみの姿勢が続くことで、胸郭を動かせる範囲が狭まったりしているからです。

そうすると、呼吸筋は伸縮する機会を奪われ、どんどん衰えていきます。

その結果、さらに速くて浅い呼吸になり、全身の酸素量が不足するという悪循環に陥ってしまいます。

したがって、体の不調を吹き飛ばすためには、実は、ただ単に体を伸ばし、気道や血管をストレートにするだけでは不充分。

道を整備するだけではなく、その道に、必要なものをパワフルに流す力も必要なのです

-首こり

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