わきをもむと、わきの下の筋肉がほぐれ、頭部や腕への血流が促進され、腕神経叢の通りがよくなります。
そうして、首・肩のコリが取れると、耳鳴りの改善につながります。
めまいや難聴のある人も、このわきもみが有効です。
目次
1.めまいや難聴の予防・改善にも
わきもみで耳鳴りが改善するのは、東洋医学的にも西洋医学的にも理由があります。
1-1.東洋医学的な話
わきの周辺には、2本の経絡(生命エネルギーの一種である気の通り道)が通っています。
一つは心包経(しんぽうけい)で、手のひら側の中指から腕の内側、わきを通って胸の外側に至る経絡です。
もう一つは三焦経(さんしょうけい)といって、手の甲側の薬指から腕の外側、わきの背中側、耳の後ろを通って、こめかみに至る経絡です。
この二つの経絡は、表裏の関係にあり、お互いに強く影響し合っています。
通常、耳鳴りの治療では、三焦経のツボを刺激します。
しかし、心包経も同時に刺激することで、より高い効果が期待できるのです。
また、心包経は精神活動をつかさどる心経(しんけい)という経絡とも深い関係にあり、ストレスがあると通りが悪くなります。ですから、心包経の流れを促すと、心経の通りもよくなり、ストレスが関係するような耳鳴りの改善にも役立ちます。
1-2.西洋医学的な観点
鎖骨の下からわきの下へ、血管や神経が通っています。
腕を動かす仕事が少なくなった現代人は、わきの周囲の筋肉がかたくなる傾向にあります。
すると、血管や神経が圧迫されて、血液の流れや神経の通りが悪くなるのです。
わきの下に通る腕神経叢は、首すじ(頸椎5番から胸椎1番)からわきの下を通って腕に伸びている神経の束で、心包経の位置とほぼ重なっています。
わきをもむと、わきの下の筋肉がほぐれ、頭部や腕への血流が促進され、腕神経叢の通りがよくなります。
そうして、首・肩のコリが取れると、耳鳴りの改善につながります。
鍼灸では、耳鳴りは耳の周りのツボに鍼やお灸をするとよく効きます。
しかし、それらのツボを使わなくても、わきをもむだけで十分効果が得られます。
わきもみは自分でもやることができます。
そのやり方は、下項を参照してください。
耳鳴りのある側のわきを重点的にもみ、反対側のわきもできればもみましょう。
痛気持ちよい強さで、片側1分ほどもみます。これを、1日3回を目安に行うといいでしょう。
2.耳鳴りに効くわきもみのやり方
●1日3回を目安に行う。特に、体の温まっている風呂上がりに行うのがお勧め。
●痛気持ちよい強さでもむ。
❶右腕のわきの下のくぼみに左手の親指を当て、親指以外の4本の指を背中側に当てる。
❷親指とほかの4本の指で、わきと背中をつかむように数回もむ。
❸親指の位置を少しずつずらしながら、1分ほどもむ。
❹左側のわきも同様にもむ。
3.まとめ
わきには毛細血管が多く集まっており、リンパ節もあります。
その周辺の筋肉が硬くなっているということは、そこの流れが滞っているということになります。
わきをマッサージして流れを改善してあげることは、身体全体に影響を及ぼすと言っても過言ではないと思います。
首・肩こりがつらい時はわきの下もマッサージしてあげると改善するかもしれません。