ストレスは、外からの刺激により、体に負担がかかることで生じます。
また、体に様々な不調を引き起こしますが、その中でも頭痛はよく見られる症状です。
頭痛には、大きく分けて「緊張型頭痛」と「片頭痛」があります。
ストレスが原因で起こる頭痛は「緊張型頭痛」といいます。
目次
1.緊張型頭痛とは
頭痛の70~90%を占めるともいわれる頭痛で、頭の周りの筋肉が緊張して痛むとされています。
頭の横の筋肉や、首や肩の筋肉が緊張することで、血流が悪くなった結果、筋肉内に乳酸などの老廃物がたまり、その神経の周囲が刺激されて起こると考えられています。
しかし頭痛が起きるメカニズムは、まだ完全には解明されていません。
1-1.ストレスが広くかかわっている
精神的、身体的ストレスや、長時間同じ姿勢をとり続ける人に多く、うつ病などの心の病気が原因となっていることもあります。
そうしたストレスから生じる「緊張性頭痛」は、頭の周りの筋肉の緊張がなくても頭痛を引き起こすことがあります。
心配事や不安、悩みなどを抱えていると、その精神的なストレスによって「痛みをコントロールする神経の機能」がきちんと働かなくなってしまいます。
1-2.ストレスが血圧を上げる
ストレスを感じると、ストレスホルモンと呼ばれる「コルチゾール」の分泌が乱れます。
コルチゾールは体内で合成生成されるステロイドです。体液量を増やすことで血圧を上げる作用のあるホルモンで、ストレスを感じた時、体はストレスと戦うために血圧を上げて臨戦態勢をとります。
このように、脳の血圧上昇に伴う、血管の収縮拡張や、脳の血液量の増大が頭痛の原因の1つとなります。
1-3.午後から夕方にかけて起こることが多い
特徴は、午後から夕方にかけて目の疲れや倦怠感とともに起こることが多く、後頭部から首筋を中心に、両側性に頭全体がギュッと締めつけられるように痛みます。
数時間で治まることもあれば、数か月続くなど慢性化することもあります。
1-4.片頭痛に比べて吐き気やおう吐は軽い
精神的なストレスが引き金となり、頭痛と併せてめまいや吐き気、肩こりや動悸、手足のしびれなどが起きることもありますが、片頭痛に比べると吐き気やおう吐は軽度です。
この場合は、自律神経失調症の可能性もあります。
現れる症状は人により大きく異なります。
2.片頭痛とは
『硬膜』『クモ膜』『軟膜脳』の3層からなる『脳膜』という脳を包んでいる膜の血管が収縮することで、周囲の大元の神経である三叉神経などが刺激されます。
その刺激で炎症物質が発生し、さらに血管を拡張し、頭痛を引き起こすと考えられていましたが、異論もあり完全には解明されていないです。
また、脳の血管の収縮は、セロトニンという脳内の神経物質が過剰に放出されることが原因です。
2-1.片頭痛が起きやすい状況
片頭痛が起きやすい状況については、以下が考えられます。
・心身のストレスから解放された時 ・寝過ぎ、寝不足
・女性ホルモンの変動
・空腹
・疲れ
・光や音の強い刺激
2-2.片頭痛の特徴
こめかみから目のあたりがズキンズキンと痛み、片側だけではなく両側が痛みます。
体を動かして頭の位置を変えると痛みが強くなり、吐き気やおう吐、下痢、光や音、におい、気圧や温度の変化に敏感になります。
一旦痛み出すと、1~3日ほど続き、1か月に1,2度、多い人では1週間に1度など、周期的に頭痛を繰り返すこともあります。
片頭痛は、ギザギザとした光るものが見えたり、うまく喋れなくなったりするなど、「前兆」現象が見られるのも特徴です。
3.ストレスによる頭痛の対処法は?
3-1.外に出て気分転換
頭痛が始まったら、作業を一旦中止します。
その場から離れるなどをして、早めに気分転換をしましょう。
3-2.同じ姿勢を続けない
長時間同じ姿勢を続けると、首や肩が凝って硬くなり、頭痛の原因となります。
時々違う姿勢をとったり、首や肩を回すなどストレッチをしましょう。
3-3.温める・冷やす
入浴や蒸しタオルで肩や首を温めましょう。
頭痛の原因となる筋肉の血流を改善し、リラックス効果も期待できます。
冷たい水で浸したタオルで側頭部や肩・首を冷やしましょう。筋肉の炎症を抑え、拡張した血管の収縮効果も期待できます。
季節や気温、その時の状態によって気持ちが良いと思う方を選ぶと良いでしょう。
3-4.頭痛を記録する
頭痛が起きた日時、どのような状況で、時間はどのくらい続いたかなど記録をすることで対策がとりやすくなります。
また、病院を受診した時に 正確な診断にもつながります。
3-5.食べもので改善
脳の神経伝達物質であり、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」が不足すると、ストレスを感じやすくなるといわれています。
そこでセロトニンの原料となる「トリプトファン」を多く含む食品をとることがおすすめです。
トリプトファンは、乳製品や大豆製品、レバーやアボカドに多く含まれています。
体内で合成することができない必須アミノ酸のひとつなので、普段の食事に取り入れてみましょう。
4.痛み止めは飲んでもいい?
頭痛の時に使われる鎮痛剤は、「緊張型頭痛」の中でも、肩や首の筋肉に凝りや痛みを感じる場合には効果があります。
しかし、痛いからといって、そのつど鎮痛剤を服用することで、薬への依存がエスカレートすると薬の量が増え、効き目が持続する時間が短くなっていきます。
やがて薬そのものによって頭痛が誘発される『薬物乱用頭痛 』になってしまうことがあるので注意が必要です。
4-1.治療は主に問診
病院では、医師による頭痛の問診が主となります。診断を確定できる特別な検査はありません。
頭痛を引き起こす他の病気を除外するために、CTまたはMRI検査を行う場合もあります。
原因がはっきりストレスだとわかっている場合は、心療内科を受診することも視野に入れましょう。
原因がストレスがどうかわからない場合には、まずかかりつけの内科に相談してみるのもいいでしょう。
4-2.薬は一時的なものと考えて
不安やストレスを取り除く目的で、抗不安剤や抗うつ剤が用いられることもあります。
しかし薬は一時的に使用するものと考え、日ごろから自分に合ったリラックス方法を見つけることが大切です。
5.まとめ
ストレス社会の現代で、まったくストレスを感じずに過ごすことは難しいかもしれません。
しかし、軽い運動をしたり、ゆったりとした時間を持つなど、自分に合ったリラックス法を見つけることは、頭痛の予防にもなり、何よりの治療法にもなります。